あなたの猫に本当に必要な駆虫頻度は?
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猫では消化管内寄生虫が極めて多く見られ、あなたの猫もいずれ、これらの不愉快な寄生虫を身体の中に取り込んでしまうかもしれません。
愛猫を確実に守る唯一の方法は、定期的に、少なくとも年4回は(冒険好きの室外飼い猫や俊敏なハンター気質のある猫ならもっと多く)駆虫を行うことです。
では、あなたの猫に本当に必要な駆虫頻度はどのくらいでしょうか。それを探ってみましょう。
駆虫の利点
- 愛猫の健康を維持する:お腹に虫がいる猫は、外面的には完全に健康で幸福そうに見えるかもしれませんが、内面的には話が違ってきます。虫は消化管内に住み着いて、猫にとって貴重な栄養素や血液を摂取し続けます。場合によっては、これが猫の体重減少、食欲増進、下痢、被毛の乾燥やごわつき、衰弱などにつながることがあります。重度の感染になると、貧血や腹部膨満が生じることもあります。
- 再感染を予防する:ほとんどの駆虫薬は、猫の体内にいる寄生虫を麻痺させて死滅させることによって効果を発揮します。そのため、それ以降に猫が次々に取り込んでしまう寄生虫をすべて取り除くためには、定期的な駆虫を継続して行うことがとても大切なのです。
- あなた自身とあなたの愛する人たちを守る:回虫のようないくつかの寄生虫は人にも感染することがあり、その幼虫が全身に移行して臓器や眼に損傷を引き起こしたりします。これは非常にまれですが、特に幼い子どもでは重症化するおそれがあり、極端な例では失明につながることもあります。
実際に必要な駆虫頻度
- 成猫:ほとんどの成猫には少なくとも3か月ごと、つまり年に4回、季節ごとに定期駆虫をします。
- 頻繁にハンティングをする猫:ハンティングが好きな猫は、ネズミのような感染したげっ歯類を食べることで、寄生虫に感染するリスクがずっと高くなります。そのため、獣医師から月に1回の駆虫を勧められる場合もあります。
- 子猫:一度も駆虫したことのない離乳したばかりの子猫や駆虫歴が不明の子猫を迎えたときは、健康診断を兼ね獣医師に駆虫の相談をしてください。感染している寄生虫や体調にもよるため、投薬は獣医師の指示に従ってください。
- 妊娠中および授乳中の猫:薬が使えるかどうかはもちろん、母猫の体調にもよるため、妊娠授乳中は獣医師の診断を受け、指示に従って駆虫してください。
どんな種類の駆虫薬を使うべきか
駆虫薬には、投与方法によって経口薬やスポット薬など、さまざまなタイプのものがあります。あなたの猫に一番合うタイプについては、獣医師と相談してください。
• 経口薬
これまでのところ、経口タイプの駆虫薬が最も一般的です。通常、猫に直接、または食事に混ぜて与えます。
- スポット薬
スポットタイプの駆虫薬は、いくつかのノミ駆除薬と同様に、猫の頸背部(頸部後方で後頭部に近い部分)に単純に滴下して使用します。
どんなタイプの消化管内寄生虫に対処する必要があるか
- 猫が体内に取り込んでしまうことが最も多いのは回虫と条虫です。
回虫
この虫は、世界中のあらゆる年齢の猫に見られます。猫は、汚染された環境から回虫の卵を摂取したり、回虫を持つネズミなどを食べたりすることでこれに感染します。回虫の成虫は長さが約10センチにも達することがあり、猫の消化管内で猫が食べたものを栄養源にして生活します。
- 条虫
多くの節(片節)でできた長くて平たいこれらの虫は、小型のげっ歯類やノミを介して猫に伝染します。そして猫の小腸に住み着き、猫が摂取した栄養素を吸収します。時には猫の便とともに排泄された米粒のような虫卵が見つかることもあります。回虫はすべての猫、特に子猫で問題になりますが、条虫には、ノミが寄生している猫に感染のリスクがあります。
室内飼いの猫にも駆虫は必要か
必要です。定期的な駆虫をすべての猫に施すべきです。条虫を媒介するノミは、私たちの衣服や鞄、他のペット、来訪者などに乗っかって、簡単に家の中に侵入してきます。そのため、室内飼いの猫も皆、毛づくろいの時にノミを条虫とともに摂取して、無意識のうちに消化管内寄生虫に簡単に感染してしまう可能性があるのです。
愛猫をノミから守るのを忘れないこと
1匹のノミが生涯で約2,000個の卵を産めることをご存じでしたか1。ノミのライフサイクル(卵から成虫まで)は、理想的な条件下ではたった14日という短さになるため、暖かくなってノミの季節がやって来ると、1匹があっと言う間に増えてノミだらけという状態になってしまいます。ノミは寄生虫を媒介するため、猫に二重のトラブルをもたらします。猫が(しばしば毛づくろいの時に誤って)ノミを飲み込むと、条虫に感染してしまう可能性があります。
定期的なノミ対策は、愛猫を条虫感染から守ることにもなるのです。
あなたの猫にぴったりのノミ駆除薬と駆虫薬については、かかりつけの獣医師に相談してください。
参考文献:
1. Dryden MW, Host association, on-host longevity and egg production of Ctenocephalides felis felis. Veterinary Parasitology 34, 117–122 (1989).